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1/4300×1/4300。True Miracle

Story

哺乳類の種の数は研究者によって変わりますが、
おおむね4300から4600とされています。
ならば私、オオツノヒツジとコウモリ君が
森で出会う確率は1億8千49万分の1。
ありそうで、なさそうな超珍しい出会いなのです。
Text:竹腰卓司/Takashi Takekoshi

Review

11月「ヤギとコウモリ」
2種の違う動物を一つの絵で描いたこと、山の稜線なのか背景の描きこみがあり、賑やかな印象を与えてくれる。絵を描きながら、陽平さんの世界観を作り、そこからイメージを広げ、それを土台に想像の世界を広げているようである。一枚の紙の中で指揮を執り、ときには伴奏もし、ときには不協和音も違和感なく表現する力を持っている。この場面を切り取った前後にストーリーが見えてくるようである。
笑っている表情からは、自分の思いや願いを託すだけではなく、やさしさ、可愛さ、細やかさ、力強さなどといった形容詞が構築されているようだ。陽平さんの表情や感情への関心が向いていることが伺える。2体の動物の大きさの対比もあえて表現しているであろう。大きさの概念が表現されており、動物の世界を図鑑のように説明しているようである。ヤギの背中からお尻のラインが盛り上がっていたり、後ろ足が太く力強さを感じさせたり、コウモリの耳部分を左右違うように描いたりと、陽平さんの持つ動きのイメージや認識の仕方を表現できている。毎日絵を繰り返し描くの中で、ある時期がくると少しずつ変化や広がりが出てきたのだろうか。見晴らしのいい場所に立って、少しずつ何万通りの世界観が構築されているようである。個性が花開いた時、誰も見たことのない世界が一歩前に進み出るようなワクワク感が期待される。
発達分野の作業療法士 安河内美樹 / 言語聴覚士・准看護師 大橋恵子